バラ科サクラ属の広葉樹
日本で流通しているバラ科サクラ属の広葉樹といえばアメリカンブラックチェリーとヤマザクラです。
カバをカバザクラと言って販売される業者さんもいらっしゃいますがカバは、カバノキ科カバノキ属の広葉樹になるのでまるで異なります。
バラ科サクラ属のアメリカンブラックチェリーやヤマザクラは、経年の変色により木肌が赤くなっていくのが特徴です。欧州の人は、変色が楽しみでブラックチェリーの家具を選ぶほどです。 しかし、カバはいくら時間が経っても赤くはなりません。日本の木材業界では、昔からカバをカバザクラと言って販売してきたそうです。現代人からすれば、木目が似ているカバを希少性の高いサクラだといって 値打ちを付けてカバザクラと名前を変えて販売してきたのでしょう。カバも素晴らしい樹木なのですが、日本人の木材業者だけがこの始末です。英語では、サクラはcherry、カバノキはbirchです。 日本人的考えが入るとbircherryとかになるのでしょうか???何れにせよ未だに同じことを続けている木材業界の程度の低さが垣間見えます。
バラ科の広葉樹といえば以下のような樹木があります。
サクラ属:Prunus spp.
ブラックチェリー
- 学名:Prunus serotina
- 別名:アメリカンブラックチェリー、ワイルドチェリー
- 分類:バラ科サクラ属の落葉広葉樹
- 原産・分布:アメリカ東部
- 用途:家具、楽器材、ドア、床材など
- 比重:約0.55
- 特徴:加工は容易。木肌は緻密で表面の仕上がりは美しい。点や筋状の黒い変色はガムポケット(樹脂痕)といい特徴の一つ。日本のさくらんぼより少し大きく赤黒い色の実が食用として有名
ブラックチェリーの立木
ブラックチェリーの原木
ブラックチェリーの木肌
ヤマザクラ(山桜)
- 学名:Prunus jamasakura
- 別名:ホンザクラ
- 分類:バラ科サクラ属の落葉広葉樹
- 原産・分布:本州、四国、九州、朝鮮半島
- 用途:家具、楽器材、漆器木地、柄、スモークチップ、彫刻材、床材
- 比重:約0.60
- 特徴:辺材は淡黄褐色、心材は赤褐色で、心材、辺材の境界は明瞭ではっきりしています。
本桜(ホンサクラ)の花
本桜(ホンサクラ)
本桜(ホンサクラ)の原木
ホンサクラの木肌
ウワミズザクラ(上溝桜)
- 学名:Prunus grayana(Padus grayana)
- 別名:コンゴウザクラ、アンニンゴ、ハハカなど
- 分類:バラ科サクラ属
- 原産・分布:石狩平野以南の北海道、本州、四国、熊本県南部までの九州の山野
- 用途:漆器の木地、お盆、印材、傘の柄、ナタの柄
- 比重:ー
- 特徴:ピンク色にやや紫がかった箇所もありブラックチェリーとよく似ている
オオシマザクラ(大島桜)
- 学名:Cerasus speciosa
- 別名:餅桜(モチザクラ)、薪桜(タキギザクラ)
- 分類:バラ科サクラ属の落葉広葉樹
- 原産・分布:日本、中国
- 用途:サクラ餅の葉、木材、薪炭
- 比重:ー
- 特徴:オオシマとエドヒガンの交配品種がソメイヨシノ
シウリザクラ
- 学名:Prunus ssiori(Padusssiori)
- 別名:シオリザクラ,ミヤマイヌザクラ(深山犬桜)など
- 分類:バラ科・落葉広葉樹
- 原産・分布:北海道,本州,南千島,サハリン,中国東北部など
- 用途:家具、器具、彫刻、楽器等
- 比重:約0.67
- 特徴:同じように穂状の花序を出すウワズミザクラとの区別は難しい
ホザキナナカマド (穂咲き七竈)
- 学名:Sorbaria sorbifolia
- 別名:ー
- 分類:バラ科、ホサキナナカマド属・落葉低木
- 原産・分布:北海道・本州(下北半島)、朝鮮・中国・モンゴル
- 用途:庭木
- 比重:ー
- 特徴:ニワナナカマドは別種である。
エゾヤマザクラ
- 学名:Prunus sargentii Rehder
- 別名:オオヤマザクラ(大山桜),ベニヤマザクラ(紅山桜)
- 分類:バラ科サクラ属
- 原産・分布:北海道、本州(中部以北)、千島、サハリン、朝鮮半島
- 用途:庭園・公園・街路樹、家具材、彫刻材
- 比重:ー
- 特徴:ヤマザクラやカスミザクラより標高が高いところに生える。
ナナカマド
- 学名:Sorbus commixta
- 別名:オオナナカマド、エゾナナカマド
- 分類:バラ科ナシ亜科ナナカマド属 ・落葉広葉樹
- 原産・分布:北海道・本州・四国・九州、朝鮮・樺太・南千島
- 用途:器具、樹皮は染料、庭木、床材、街路樹
- 比重:ー
- 特徴:白色の花を密につける。秋の赤い実と紅葉が美しい